Remote Control / 仕組みの解剖

クロードコードは、
どこで動いているのか

iPhoneで文字を打つと、Macの中のファイルが書き換わる。あいだに何がいて、どこで「考えて」、どこで「手を動かして」いるのか。実際に動いている構成を、そのまま図にした。

測定日
2026-09-01
claude 本体
v2.1.251 / 2 プロセス
接続中の端末
iPhone 1台
出典
Claude Code 公式ドキュメント
01 — 結論

ひとことで言うと

iPhoneは「目と口」。Anthropicのサーバーが「頭脳と郵便局」。あなたのMacが「手足」。

よくある勘違いは「Cursorを通ってサーバーに行く」という理解。実際はCursorは通り道ではなく、Macの中にある“ただの入れ物”です。信号はiPhoneからAnthropicへ、そこからMacへ。Cursorは経路上にいません。

あなたの理解 iPhone インターネット Cursor インターネット Claudeのサーバー Cursorは通り道ではない (通信を中継していない) 実際 iPhone 目と口 Anthropic のサーバー 頭脳と郵便局 あなたの Mac = claude 本体 手足(Cursorはこの箱の中の入れ物)
上と下の違いは1か所だけ。Cursorが「経路の途中」から「Macの中身」へ移動している。この1個のズレが、「Macを閉じたらどうなるか」「iPhoneだけで動くのか」の答えを分ける。
02 — 登場人物

3人しかいない

この仕組みに出てくるのは3人だけです。それぞれの「担当」がはっきり分かれています。

目と口

iPhone

  • あなたの言葉を送る
  • 返ってきた文章を映す
  • 写真をそのまま渡せる
  • 許可ボタンを押せる
頭脳と郵便局

Anthropic のサーバー

  • AIが実際に考える場所
  • iPhone ⇄ Mac の伝言を中継
  • 会話の記録を保管(同期用)
  • 通知を飛ばす
手足

あなたの Mac

  • ファイルを読む・書く
  • git commit / push
  • whisper・ffmpeg を回す
  • 外付けHDDを触る
03 — 全体図

信号がたどる道

あなたがiPhoneで「commit & push」と打ってから、Macのファイルが変わって画面に返ってくるまで。番号は実際に起きる順番です。

iPhone Claude アプリ 「コード」タブ 目と口だけ Anthropic のサーバー 郵便局 伝言を中継する 頭脳 Opus 5 がここで考える 記録 会話を保管(同期用) あなたの Mac Cursor = ただの入れ物 claude 本体 ① claude 本体 ② 手足はここ ・ファイルを読む / 書く ・git commit / push ・whisper / ffmpeg を回す ・外付けHDDを触る ① 打った文字 ② これやって ③ やった結果 ④ 画面に出す Macがするのは「外向きの通信」だけ。外から入ってくる入口(ポート)は一切開かない ── Macの方から「用事ある?」と聞きに行く形。 だから iPhone は Mac を直接たたいていない。すべての伝言は必ず Anthropic のサーバーを経由する。
②と③は1回の返事の中で何十回も往復する。「考える」と「手を動かす」が別の場所にあるので、ファイルを1つ読むたびに海を渡っている。
04 — 1回の返事の中身

「考える人」と「動く人」が離れている

あなたが1回打つと、返事が1つ返る。その1回のあいだに、頭脳(Anthropic)と手足(Mac)は何十往復もしています。「ファイルを見せて」「はい中身です」「じゃあこの行を書き換えて」「書きました」──これがひたすら続く。

頭脳 Anthropic 手足 あなたの Mac あなたが1回打つ ファイル見せて 中身はこれ この行を直して 直しました commit して できました × 数十回 ここが時間のかかる所 返事が1つ返る 往復のたびにインターネットを渡っているので、返事が遅いときは「Macが遅い」のではなく「往復が多い」ことがほとんど。
1本の斜め線が、ツールを1回使うこと(ファイルを読む・検索する・コマンドを走らせる)にあたる。この往復はぜんぶ、あなたのMacとAnthropicのあいだで起きている。
05 — もうひとつの動き方

雲マークのセッションは、別の生き物

iPhoneのセッション一覧には2種類あります。パソコンのマーク(緑の点)= Macで動いているもの。雲のマーク= Anthropicの使い捨てマシンで動いているもの。同じ画面に並んでいますが、中身はまったく別です。

パソコンのマーク = Remote Control = Macで動く(今の2つ) iPhone Anthropic あなたの Mac 音声ファイル・外付けHDD スキル・MCP・whisper ぜんぶ使える Macが起きている あいだだけ動く。 閉じたら止まる。 雲のマーク = クラウドセッション = Anthropicの中で動く iPhone 使い捨てのマシン Anthropicが用意する まっさらな箱。 終わると消える。 GitHubから取ってくる GitHub あなたの Mac 出番なし(閉じてOK) learningMC・learningADS は「Macの中にしかないもの」(音声・外付けHDD・開発マニュアル)に頼っているので、左のやり方でないと仕事にならない。
選ぶ基準はひとつ。Macの中にしかないものを触るか。触るなら左、GitHubにあるものだけで足りるなら右。
できることRemote Control(Macで動く)クラウドセッション(雲)
Macを閉じたら止まる動き続ける
音声ファイル・外付けHDD使える使えない
自分のスキル・開発マニュアル使える使えない
MCP(Gmail・Notionなど)Macの設定がそのまま使えるクラウド側で別に設定する
何本も並列で回すMacの性能しだい得意
GitHubにないリポジトリそのまま使えるまとめて送れば可(押し戻しは不可)
会話の記録の置き場所AnthropicのサーバーAnthropicのサーバー
06 — あなたの現在地

なぜ「2つだけ」なのか

iPhoneに接続済みのセッションが2つしかないのは、設定が足りないからでも、上限があるからでもありません。Macで動いている claude 本体が、ちょうど2本だからです。Macを実際に調べた結果がこれでした。

$ ps ax | grep claude
3884  claude (Cursorの拡張が起動した本体)  ← セッション1
3965  claude (Cursorの拡張が起動した本体)  ← セッション2
バージョン: 2.1.251

ルールはシンプルで、ふつうのやり方だと「claude 本体1本 = iPhoneに出るセッション1つ」。だから増やしたければ、本体を増やすか、1本で何本も面倒を見られる「サーバーの立て方」に変えるかの2択になります。

いま 本体2本 = 2セッション iPhone に出るセッション 2 あなたの Mac claude 本体 ① claude 本体 ② 増やすには Cursor で もう1つ開くしかない A案・自動接続ON 開いた本体が全部つながる iPhone に出るセッション 開いた数だけ あなたの Mac claude 本体 ① claude 本体 ② claude 本体 ③ claude 本体 ④ B案・サーバーモード iPhone から新しく作れる iPhone に出るセッション 最大 32 新規作成 あなたの Mac claude remote-control (サーバー1本) 作業1 作業2 作業3 リポジトリごとに1本立てる learningMC / learningADS …
A案とB案の違いは「誰が新しいセッションを作れるか」。A案はMacの前でしか増やせない。B案はiPhoneの「+新規セッション」から増やせるので、外出先で効くのはこちら。
07 — 増やし方

外出先からセッションを増やす

A

自動接続をONにする推奨・30秒

Claude Codeで /config を開き、Enable Remote Control for all sessions をON。以後、Cursorで開いたセッションが全部iPhoneに並びます。今の「2つしかない」に一番早く効く手。

B

リポジトリごとにサーバーを立てる

そのフォルダで1本立てておくと、iPhoneの「+新規セッション」から何本でも作れます(最大32)。--spawn worktree を付けると、セッションごとに作業場所が分かれて衝突しません。

cd ~/src/learningADS
claude remote-control --spawn worktree --name "learningADS"
C

クラウドセッションに寄せる

Macを閉じてよくなる代わりに、音声・外付けHDD・自分のスキルは一切使えません。md編集・調査・PR対応だけの作業向き。iPhoneの「+新規セッション」でGitHubのリポジトリを選ぶだけで始まります。

08 — 落とし穴

先に知っておくこと

Macが寝たら切れる

手足がMacにある以上、Macが寝るとセッションは止まります。ネットが10分以上切れると、サーバーモードは自分から終了します。外出前にスリープを止めておくのが対策。

会話の記録はサーバーに残る

ファイルの中身と実行はMacの中で完結しますが、画面に出た文章はAnthropicのサーバーに保管されます(端末間で同期するため)。機微な内容を扱うリポジトリでは意識しておく価値があります。

許可待ちで黙って止まる

Claudeが「これ実行していい?」で止まると、気づくまで進みません。/configPush when actions required をONにすると、その瞬間にiPhoneへ通知が飛びます。

09 — 用語

1行辞書

Remote Control
Macで動いているセッションを、iPhoneやブラウザから覗いて操作する仕組み。実体はMacの中にある。
クラウドセッション
Anthropicが用意した使い捨てマシンで動くセッション。GitHubからコードを取ってきて動く。Macは要らない。
プロセス
パソコンの中で動いているプログラム1本のこと。claude本体が2本動いている=プロセスが2つ。
ポート(入口)
外から通信を受けるための穴。Claude CodeはMacに穴を開けず、Macの方から外へ聞きに行く。
worktree
同じリポジトリの作業場所をもう1つ作る仕組み。複数セッションが同じファイルを取り合うのを防ぐ。
MCP
Claudeに外部サービス(Gmail・Notionなど)を触らせるための差込口。Macに設定してあるものはRemote Controlならそのまま使える。